人生に影響を与えた本⑥働かないアリに意義がある

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「怠け者」こそが社会を救う?

こんにちは。けろけろパパです。

今日は、私が読んで非常に考えさせられた一冊、『働かないアリに意義がある』(著:長谷川英祐)をご紹介します。

「働かないアリ?なにそれ、怠け者の言い訳じゃないの?」
そう思ったあなたこそ、この本を手に取ってほしい。

◆ 働かないアリは“サボっている”のか?

本書のタイトルにもなっている「働かないアリ」。私たちは、小学生の頃からアリといえば「せっせと働く真面目な昆虫」というイメージを持っています。ところが、実際に観察してみると、アリの中にはまったく働いていない個体が一定数存在するそうです。

著者の長谷川英祐氏は、昆虫学の第一人者であり、実際にアリの巣を観察・研究する中で「働かないアリたち」の存在に注目しました。そして、それが偶然や怠慢ではなく、集団を維持するための戦略的な役割であると明かしてくれるのです。

働かないアリは、常に働いている仲間が疲弊したとき、あるいは非常事態が起きたときに“予備兵力”として即座に働き始めます。全員が常にフル稼働していれば、組織全体が脆弱になる。逆に、一定数の“非稼働層”がいることで、組織は長期的に安定するのです。

◆ 「役に立たない人」には意味がある

このアリの話、どこか人間社会に通じるものを感じませんか?

会社でも学校でも、「あの人、全然働かない」「自分ばっかり頑張っている」と感じることがあります。ですが、もしその“働いていないように見える人”が、実は緊急時に備えているのだとしたら?あるいは、表からは見えにくい形で、組織を支えているのだとしたら?

本書では、自然界のメカニズムを通して、「役に立たないように見える個体」にも、実は存在意義があることを繰り返し説いています。

私たちは“すぐに役に立つ”ことばかりを求めがちですが、自然はもっと寛容です。そして、人間もまた自然の一部であることを思い出させてくれるのがこの本なのです。

◆ 組織にとって“ムダ”は本当にムダなのか?

現代の日本社会は「効率」や「生産性」が求められるあまり、非効率なものや一見ムダに見えるものを排除する傾向があります。しかし、アリの社会はそうではありません。ムダと思える“余白”こそが、実は組織の持続性を担保しているのです。

これは人間の社会にも応用できる視点です。例えば、企業で「全員がフル稼働」している状態は、一見すると理想的に見えるかもしれません。しかし、突発的なトラブルが起きたとき、誰も動けなければ、その組織は崩壊します。むしろ、「普段は目立たないけれど、いざというときに頼りになる人」がいてくれるからこそ、組織はしなやかで強くなれるのです。

◆ 多様性こそが、生き残る鍵

さらに本書では、アリの社会における“個体差”や“多様性”にも触れています。すべてのアリが同じ行動をするわけではなく、それぞれ得意なことやタイミングが異なる。これが、自然界で生き残るための鍵なのです。

私たちも、同じように多様な個性を持っています。それを「平均」に押し込もうとしたり、「同じであること」に価値を置いたりすると、結果的に組織も社会も弱くなってしまう。違いを活かすことこそが、強さになる。アリたちの生き方は、そう教えてくれます。

◆ 自分を責めがちな人にも読んでほしい

この本の最大の魅力は、昆虫学の専門的な知見を通して、人間の生き方や働き方に優しい視点をもたらしてくれることです。

「自分は役に立っていないんじゃないか」「頑張れていない自分はダメなんじゃないか」と感じている人にこそ、この本を手に取ってほしい。アリの世界を知ることで、自分自身を少し許せるようになります。

◆ 子どもから大人まで学べる一冊

文章は平易で、昆虫の専門書というよりは、読みやすいエッセイのような印象です。中学生でも読める内容なので、親子で読むのもおすすめ。子どもに「働くとは何か」「社会とはどうあるべきか」を伝えるにもぴったりな一冊です。

「アリの話なんて、子ども向けでしょ?」
そんな先入観はすぐに吹き飛ぶでしょう。なぜならこの本には、人間社会を深く見つめ直すヒントが詰まっているからです。

◆ まとめ:あなたにも、あなたなりの「意義」がある

『働かないアリに意義がある』は、私たちにこう問いかけてきます。

「すべての行動に“意味”がなければいけないのか?」

そんなことはありません。誰かと比べて焦る必要もない。目に見える成果だけが全てではないのです。

この本は、「役に立たなきゃ」「頑張らなきゃ」と肩に力が入っていた私の背中を、そっとなでてくれました。

最後に、この本の中の一文をご紹介します。

「自然界では、“働かない”ことにもちゃんと意味がある。」

この言葉を胸に、少しだけ立ち止まって、自分のペースで生きることを許してみませんか?

この記事を読んでいただいた方のお役に立てれば嬉しいです。

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